現場の仕組み施設管理

複数の施設・拠点を地図で管理する方法|巡回の抜け漏れをなくす

約14分PinStock編集部
複数の施設・拠点を地図で管理する方法|巡回の抜け漏れをなくす

体育館、公園、テナントビル、清掃の契約先、点検先の建物。複数拠点を数名で回していると、対象が10か所を超えたあたりから、責任者の頭の中だけでは全体を追えなくなります。一覧表も巡回の予定表もあるのに、「先月、北側の3施設には誰が行ったのか」と聞かれると、表を2つ開いて突き合わせることになります。

  1. 複数の施設・拠点の管理で抜け漏れが起きるのは、一覧表が「どこにあるか」と「どれだけ間隔が空いたか」を同時に見せられないからです。担当者の注意力の問題ではありません
  2. 施設を地図のピンにして、訪問の記録を施設ごとに積み上げると、「行けていない施設」が場所ごと見えるようになります
  3. 地図で扱うのは「誰がいつどの施設に行ったか・次にどこへ行くべきか」までです。設備台帳や修繕履歴、法定点検の帳票は、これまでの台帳や専用システムに任せたままで構いません

この記事では、複数施設の管理で空白が生まれる理由、地図に載せると変わること、業務別の当てはめ方、地図型の顧客管理アプリ「PinStock」で始める手順をまとめます。向いていないケースも正直に書きます。


複数施設の管理で起きる「見えない空白」

抜け漏れは忙しい月に突然起きるように見えますが、実際には次の3つが重なって、少しずつ空白が広がっています。

一覧表には「場所」がない

施設の一覧表は、名前順か契約順に並んでいます。隣り合う2つの施設が、表の上では何十行も離れています。「近くまで行ったのに、すぐ隣の施設を見落とした」は、表が場所を持っていないことから起きます。エリアごとの偏りも、表からは見えてきません。

予定表は「行くと決めた先」しか映さない

巡回の予定表に並ぶのは、行くと決めた施設だけです。入れ忘れた施設は、予定表のどこにも現れません。回れなかった日の振り替えも、たいてい担当者の記憶に任されます。予定表が見せるのは計画であって、「最後に行ってから何日たったか」ではありません。

記録が「人」に付いている

巡回の報告は、担当者ごとの日報や報告書として提出されます。時系列に流れていくので、「この施設に最後に行ったのはいつか」を知るには、何人分もの報告をさかのぼることになります。担当者が替わるときの引き継ぎで渡るのは施設の一覧だけで、鍵の受け取り方や搬入口の位置といった、訪問して初めて分かる情報は消えていきます。

この3つがそろうと、空白は誰も気づかないまま広がり、先方から「最近来ていませんね」と言われて初めて分かる、という順番になります。


施設を地図で管理すると何が変わるか

表の突き合わせから、地図でひと目へ
表の突き合わせから、地図でひと目へ

施設や拠点を地図のピンとして登録し、訪問の記録をそのピンに積み上げて一元管理する。やることはこれだけですが、一覧表との違いは次のとおりです。

知りたいこと 一覧表・予定表での管理 地図での管理
施設がどこに固まっているか 住所の文字から想像する ピンの並びでひと目で分かる
最後に誰がいつ行ったか 日報や報告書をさかのぼる 施設のピンを開くと訪問履歴が並んでいる
間隔が空いている施設はどこか 最終訪問日の列を並べ替える(列が更新されていれば) 一定の日数を過ぎた施設が、地図と一覧に表示される
近くに寄れる施設はあるか 住所を1件ずつ調べる 地図で、行き先のまわりのピンを見る
担当が替わったときの経緯 前任者に聞く メモと写真が施設のピンに残っている

ポイントは3行目です。一覧表でも、最終訪問日の列を作れば間隔は計算できます。ただしその列は、誰かが毎日更新し続けて初めて意味を持ち、忙しい週に更新が止まれば役に立たなくなります。

地図型の道具で大事なのは、地図の見やすさよりも、訪問という行動そのものが記録になり、間隔の空きが向こうから浮かび上がることです。

地図型の管理の全体像と道具の選び方は、外回り営業に地図型顧客管理アプリを使う方法と選び方にまとめています。営業向けの記事ですが、考え方は施設の巡回にもそのまま使えます。

外回り営業に地図型顧客管理アプリを使う方法|選び方と活用手順【完全ガイド】


地図に載せるもの、載せないもの——施設管理システムとの線引き

「施設管理」という言葉は、とても広い範囲を指します。ここで扱う範囲をはっきりさせておきます。

管理したい情報 置き場所
設備の台帳(機器の型番・設置年・耐用年数) これまでの台帳・施設管理の専用システム
修繕の履歴・見積・工事の記録 これまでの台帳・施設管理の専用システム
法定点検の帳票・点検結果の報告書 所定の様式・専用システム
予約・利用者の受付・料金の収納 施設の予約システム
誰が・いつ・どの施設に行ったか 地図(この記事の範囲)
行ったときに気づいたこと・現場の写真 地図(この記事の範囲)
次にどの施設へ行くべきか(間隔が空いた施設) 地図(この記事の範囲)

地図型のアプリは、上の4行を置き換えるものではありません。設備の台帳や法定点検の帳票には決まった様式があり、それに合わせて作られた仕組みを使うのが確実です。

地図が受け持つのは、下の3行です。台帳は整っているのに、「先月、この施設に人が行ったかどうか」だけが分からない。台帳が扱うのは設備で、訪問の実績ではないからです。このすき間を埋めるのが、地図と訪問履歴の役目です。


業務別の当てはめ方——指定管理・ビルメンテナンス・点検・ルート営業

同じ「複数の施設を回る」でも、業務によって見たいものは少しずつ違います。4つの型で整理します。

指定管理者:複数の公共施設を一括で受けている場合

体育館、プール、公園などを、ひとつの指定管理者がまとめて受けているケースです。施設ごとに常駐のスタッフがいても、統括の担当者による巡回は別に必要です。地図に載せると、「統括の巡回が月に1回も入っていない施設」が分かります。自治体への報告書は所定の様式で作りますが、「いつ誰が巡回したか」の元になる記録を、あとから探さずに済みます。

ビルメンテナンス・清掃:契約先の建物が点在している場合

日常の清掃は現場のスタッフが担当し、責任者は品質の確認のために巡回する、という形が多い業務です。契約先が増えるほど、責任者の巡回は「連絡が来た先」に偏り、何も言ってこない契約先ほど間隔が空いていきます。

定期点検:周期の決まった訪問が中心の場合

設備の定期点検や保守のように、数か月ごとに同じ建物を訪ねる業務です。点検の結果は所定の帳票に残しますが、「前回の訪問からどれだけたったか」を全件で見渡す手段は、意外と用意されていません。地図で見られるようにしておくと、近いエリアの点検先をまとめて回る判断がしやすくなります。

施設向けルート営業:訪問先が施設である場合

施設を定期的に訪ねる営業です。訪問先が1,000件を超えることもあり、担当者の記憶だけでは回りきれません。後半で紹介する事例は、この型です。

4つの型に共通するのは、訪問の間隔に「これ以上空いたら異常」という線があることです。その線は業務や施設の種類ごとに違うので、線を自社で決められる道具が向いています。


PinStockで始める4ステップ——空白が浮かび上がる状態を作る

ここからは、私たちが提供している「PinStock」での具体的な進め方を紹介します。

PinStockは、外回り・ルート営業のための地図型の顧客管理アプリです。訪問先を地図のピンとして管理し、訪問したらワンタップでチェックイン。メモや写真がピンに残り、チーム全員に共有されます。対応環境はiOS/Android/PC(ブラウザ)です。

営業向けに作られているため、画面の言葉は「顧客」になっています。施設の巡回に使う場合は、「顧客=施設・拠点」と読み替えてください。

ステップ1:施設の一覧をCSVで取り込み、ピンにする

いま持っているExcelの施設一覧を、CSVで書き出して取り込みます。1行に1施設、住所は1列にまとめておくと、住所から地図の上にピンが立ちます。番地まで入っているほど、ピンの位置は正確になります。

敷地が広い施設は、ピンが事務所の位置からずれることがあるので、取り込んだあとに主な施設だけ位置を確かめておくと安心です。一覧の整え方は、Excelの顧客リストをCSVで地図に載せる手順で詳しく説明しています。

Excelの顧客リストを地図に載せる方法|CSV取込で「住所録」を「チームの地図」にする手順

ステップ2:ステータスと「要フォロー」の日数を決める

次に、施設の種類をステータスで分けます。ステータスは名前と色を自由に決められます。営業向けの「見込み・既存」ではなく、巡回の頻度で分けるのがコツです。

例えば、次のような分け方です。

ステータスの例 巡回の目安
月次巡回 月に1回
四半期巡回 3か月に1回
重点フォロー 2週間に1回
休止・閉鎖中 巡回なし

PinStockでは、最終訪問からの経過日数を管理者が1つ設定でき、その日数を過ぎた施設が「要フォロー」として一覧と地図に表示されます。日数は全施設で共通なので、いちばん数の多い巡回の頻度に合わせます(日数は説明のための例です)。四半期巡回のように間隔の長い施設は、ステータスで絞り込んで分けて見ます。

日数には少し余裕を持たせるのがおすすめです。月に1回の巡回なら35日にしておくと、数日のずれで表示が埋まることを避けられます。「最近行けていない気がする」が、「35日を超えている施設が8件」という数に変わります。

ステップ3:現地でワンタップのチェックイン——写真とメモを施設に残す

施設に着いたら、スマホでチェックイン
施設に着いたら、スマホでチェックイン

施設に着いたら、スマホのアプリでチェックインします。1タップで訪問の日時が施設のピンに記録されます。あわせてメモと写真(1回の訪問につき3枚まで)を残せます。

「2階の照明が1か所切れている。先方に連絡済み」——こうしたひとことと写真が、担当者の報告書ではなく、施設のピンに訪問履歴として積み上がっていきます。メモは「全員に共有」と「自分だけ」を切り替えられます。

チェックインには許容範囲があり、施設のピンから決めた距離の中でだけチェックインできます。範囲の外ではチェックインできないため、「その場所に行った」ことの記録になります。敷地の広い公園や球場が多い場合は、広めから始めて絞ると運用が止まりません。

チェックインした時点で、その施設の経過日数は数え直しになります。抜け漏れを見つける仕組みが、表への入力ではなく、訪問そのものにつながります。

ステップ4:週に一度、地図を開いて「空いている施設」を見る

週に一度、責任者がPCで地図を開きます。要フォローになった施設が地図と一覧に表示されているので、表を突き合わせる作業はいりません。「西側のエリアに要フォローが5件固まっている」と分かれば、来週の巡回にまとめて組み込めます。

なお、PinStockには巡回の予定表やルートを組む機能はありません(2026年10月時点)。予定はこれまでどおりの予定表で作り、実績は地図に残す、と役割を分けると、いまの運用を崩さずに始められます。

月末の報告に向けては、担当者ごとの訪問状況をPCの画面で確認できます。訪問履歴のCSV書き出しは順次提供予定です。施設(顧客)データのCSVでのエクスポートには対応しており、一覧の持ち主が自社であることは変わりません。


事例:1,000件超の施設を回るルート営業の担当者

匿名・本人承認済みの事例を紹介します。

プロフィール: 施設向けルート営業・営業歴10年

導入前: 訪問先は1,000件超。Excelの住所録と、自分の記憶が頼り。訪問のたびに日報を書き、他の担当が今どこを回っているかは分からない状態でした。

導入後: 1,000件超の訪問先を地図のピンに一括登録。訪問したらワンタップでチェックイン——「これが日報の代わりになる」。訪問メモはチームに共有されるので、急な代打でも前任の記録を見てから訪問できるようになりました。

「個人の地図アプリだと、メモは自分にしか見えませんでした。チームで見えるのが一番の違いです」

営業の話ですが、起きていたことは施設の巡回と同じです。訪問先が多く、記録は個人の手元にあり、他の担当の動きは見えない。メモがチームに見えることで、急な代打や引き継ぎのときに「代わりの人が行ける」状態になりました。

詳しくは、施設向けルート営業の導入事例(営業歴10年)をご覧ください。日報をチェックインに置き換える考え方は、営業日報をやめてチェックイン記録に置き換える方法でも紹介しています。

PinStockの評判は?導入した営業チームの声と、正直なデメリット 営業日報をやめたら何が起きる?チェックイン記録で日報を置き換える方法


地図での管理が向いていないケース

正直に線を引いておきます。次の場合は、別の道具のほうが合っています。

  • 設備の台帳や修繕履歴、法定点検の帳票を一元管理したい場合。 これは施設管理の専用システムの領域です。PinStockは訪問の記録を残す道具で、機器ごとの台帳や点検の様式は持っていません
  • 施設が1〜2か所で、常駐のスタッフだけで回っている場合。 巡回の間隔が問題になりにくく、地図に載せる意味は小さくなります
  • 巡回の順番やルートを自動で組みたい場合。 予定表やルートを作る機能はありません。ここが一番の目的なら、合いません
  • ひとりで回っていて、記録を共有する相手がいない場合。 表計算ソフトと手帳で足りる可能性が高いです。人が増えた時点で考え直せば十分です
  • 点検の項目ごとにチェックを入力し、帳票として出力したい場合。 PinStockに残せるのは訪問の日時・メモ・写真です。項目別のチェックシートには向きません

逆に、「施設は10か所以上、回る人は2名以上、台帳はあるのに訪問の実績だけが見えない」という状態なら、当てはまる可能性が高いです。少人数のチームでの道具の選び方は、少人数のチームで回る顧客管理の選び方も参考になります。

少人数の営業チームにSFAは重すぎる?5人以下で回る顧客管理の選び方


料金と、道具を選ぶときの確認点

地図型の道具を比べるときは、機能の数より先に、①初期費用があるか ②契約は月単位か ③商談なしで始められるか ④訪問の間隔を知らせる仕組みがあるか、の4点を確かめると失敗しにくくなります。PinStockの料金は次のとおりです。

項目 内容
月額料金 ¥15,000(税抜)/¥16,500(税込)
含まれるアカウント数 5アカウント
追加アカウント 1名あたり¥800(税抜)/¥880(税込)/月
初期費用 ¥0
契約期間 月単位
対応環境 iOS/Android/PC(ブラウザ)
無料トライアル 14日間

巡回する人が5名までなら、月額¥15,000(税抜)で全員分をまかなえます。7名のチームなら¥15,000+¥800×2名=月額¥16,600(税抜)/¥18,260(税込)です。

トライアルはクレジットカードを登録して開始します。期間中に解約すれば料金は¥0です。


よくある質問

営業をしていない会社でも使えますか?

使えます。画面の言葉は「顧客」ですが、施設や拠点を1件ずつ登録して、巡回や点検の訪問記録を残す使い方ができます。ステータスの名前と色は自由に決められます。

施設の種類によって、巡回の間隔を変えられますか?

要フォローの日数は、管理者が全体で1つ設定します。施設ごとに日数を変えることはできないため、巡回の頻度が違う施設はステータスで分けておき、絞り込んで確認する運用になります。

設備台帳や法定点検の記録も管理できますか?

いいえ。残せるのは訪問の日時・メモ・写真と施設ごとのステータスです。設備台帳・修繕履歴・法定点検の帳票は、これまでの台帳や専用のシステムで管理してください。

スタッフの位置情報は、常に記録されますか?

いいえ。現在地表示やチェックインの判定のために端末の現在地を取得しますが、移動履歴を継続して記録し、管理者へ送信する機能は提供していません。訪問の位置情報はチェックイン時に記録されます。

担当者が替わったとき、これまでの記録は残りますか?

残ります。チェックインの記録・メモ・写真は担当者ではなく施設のピンに積み上がるため、担当の割り当てを変えても履歴はそのままです。

まとめ:台帳はそのまま、訪問の実績だけを地図に載せる

  • 複数の施設・拠点の管理で抜け漏れが起きるのは、一覧表に場所がなく、予定表に実績が映らず、記録が人に付いているからです
  • 施設を地図のピンにして訪問の記録を積み上げると、「最後に誰がいつ行ったか」と「間隔が空いている施設」が、探さなくても見えるようになります
  • 地図が受け持つのは、訪問の実績と次に行くべき先までです。設備台帳・修繕履歴・法定点検の帳票は、これまでの仕組みに任せます
  • PinStockなら、CSVで施設を取り込む→ステータスと要フォローの日数を決める→現地でチェックイン→週に一度地図を見る、の4ステップで始められます

まずは、手元の施設一覧から1エリア分だけを地図に載せて、「35日以上行けていない施設」が何件あるかを見てみてください。その数が思っていたより多ければ、いまの管理は記憶に頼っている部分が大きいということです。

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