位置情報で確かめられること・確かめられないこと
位置情報で確かめられるのは、「その訪問先の近くに、その日、その担当がいたか」までです。管理者が知りたいことの多くは、この範囲に入ります。必要な情報は次の3点です。
| 確かめたいこと | 中身 | 残し方の例 |
|---|---|---|
| いつ | 訪問した日時 | 記録した時刻が自動で残る |
| 誰が | 訪問した担当者 | ログインしている本人の名前で残る |
| どこで | どの訪問先か | 訪問先の近くでしか記録できない |
逆に、次の情報は訪問の確認には要りません。
- 会社を出てから訪問先に着くまでの道順
- 訪問と訪問の間にどこにいたか
- 休憩をどこで取ったか
これらまで集めようとすると、記録の量が増え、見る側の手間も増え、営業担当の抵抗も大きくなります。目的が「訪問の事実」なら、集める情報は3点に絞るのが近道です。
また、位置情報だけでは、どれだけ滞在したか、誰に会ったか、何を話したかは確かめられません。ここはメモや日々の会話で補います。
なお、ここでいう「訪問の証明」は、社内で訪問の事実を確かめられる記録のことです。取引先とのやり取りや、社外に出す証拠として使えるかどうかは別の話として考えてください。
訪問を確かめる5つの方法の比較(日報・写真・受領印・GPS・チェックイン)
外回り営業の訪問を確かめる主な方法は、日報の自己申告・写真・名刺や受領印・常時のGPS追跡・訪問先でのチェックインの5つです。どれが正解というより、手間と確かさと受け止め方のバランスで選びます。
| やり方 | 営業担当の手間 | 確かさ | 営業担当の受け止め方 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|---|
| 日報の自己申告 | 中〜大(あとでまとめて書く) | 低い(本人の記入だけ。時刻もあとから書ける) | 慣れているが、負担に感じやすい | 商談の中身を共有したいとき |
| 写真を撮る | 小〜中(毎回撮る) | 中(撮った日時は残るが、場所の見分けは写真しだい) | 抵抗は小さい。何を撮るかで迷う | 店頭や設置物など、状態を残したいとき |
| 名刺・受領印をもらう | 中(相手の協力が要る) | 高い(相手が関わる) | 毎回頼むのは気まずい | 書類や品物の受け渡しがあるとき |
| 常時のGPS追跡 | 小(自動) | 端末が動き続けていれば高い。欠けることがある | 「見張られている」と感じやすい | 車両の運行など、移動そのものを管理する業務 |
| 訪問先でのチェックイン | 小(着いたら1回押す) | 中〜高(近くでしか押せない。押し忘れると残らない) | 押したときだけなので、抵抗は比較的小さい | 訪問した事実と訪問先を残したいとき |
日報や写真は、すでに多くの会社で使われています。悪いやり方ではありません。ただ、日報は本人の申告で、写真はどこで撮ったかの見分けが難しいことがあります。受領印は確かですが、毎回お願いできる訪問ばかりではありません。
確かさだけを見ると、常時のGPS追跡が強く見えます。しかし、次の章で書くとおり、現場で嫌がられやすく、記録が欠ける問題もあります。
常時の追跡が嫌がられる理由と、記録が欠ける問題
常時のGPS追跡が現場で嫌がられやすい理由は、集める情報が多すぎることと、電池を守る仕組みで記録が不自然に欠けることの2つです。
必要以上の情報まで集まる
常時の追跡では、訪問先にいた時間だけでなく、移動中や休憩中の位置まで記録されます。管理者にそのつもりがなくても、営業担当からすると「一日中見られている」状態です。「訪問を確かめたい」という目的に対して、集める情報が多すぎることが、抵抗のいちばんの理由です。
電池と省電力で、記録が不自然になる
常時の追跡は、アプリが裏で動き続けて位置を取り続けることが前提です。ところが、スマホには電池を守る仕組みがあります。iPhoneの低電力モードや、Androidのバッテリー最適化などが働くと、裏で動くアプリが止められたり、位置の取得が間引かれたりすることがあります。
その結果、次のような記録が残ります。
- ある時間から急に記録が途切れている
- 位置が飛び飛びになり、ありえない移動に見える
- 同じ場所に長くとどまっていたように見える
こうした記録を見ると、管理者は「何かあったのか」と疑い、営業担当は「スマホのせいです」と説明する。確かめるための仕組みが、かえって不信を生んでしまいます。電池の減りが早くなることへの不満も出やすく、設定を見直すたびに現場の手間が増えます。
チェックイン方式とは:その場にいないと押せない、押したときだけ確かめる
チェックイン方式とは、訪問先に着いた担当者がアプリでボタンを1回押し、その時だけスマホの位置が訪問先の近くかを確かめて記録する方法です。「ずっと追って、訪問先にいた時間を探す」のではなく、「着いたときの1回だけを確かめる」という逆の考え方です。
- 営業担当が訪問先に着いたら、アプリを開いてその訪問先のチェックインを押す
- その時のスマホの位置と、訪問先の位置の距離を確かめる
- 決めた範囲の内側なら記録が残り、外側なら押せない
この方式のよいところは3つです。
- 集める情報が3点だけ:いつ・誰が・どの訪問先で。移動中の位置を記録し続けることはない
- 裏で動き続けなくてよい:記録は、アプリを開いて押したときにだけ作られます。省電力で裏のアプリが止められても、それが原因で記録が欠けることは起きにくくなります
- 営業担当の手間が小さい:着いたら1回押すだけ。文章を書く必要はない
一方で、できないこともはっきりしています。押し忘れれば記録は残りません。どれだけ滞在したか、誰に会ったか、何を話したかも示せません。「近くにいた」ことは確かめられても、「中に入って商談した」ことまでは示せない、という前提で使います。

チェックインの範囲の決め方:広すぎず、狭すぎず
チェックインできる範囲は、狭いほど確かで、広いほど押しやすくなります。どちらかに寄せすぎると、問題が出ます。
- 狭すぎる:建物の中や高い建物が並ぶ場所では、スマホの位置がずれることがあります。訪問先の前にいるのに押せず、営業担当の不満がたまります
- 広すぎる:近くの別の訪問先にいても押せてしまい、どこに行ったかの確かさが下がります
PinStockでは、範囲を100m・200m・300m・500m・1kmから管理者が選びます。初期値は300mです。範囲は訪問先ごとではなく、会社全体で1つです。敷地の広い訪問先だけを広げることはできないため、訪問先の大半がどんな場所かで選びます。目安は次のとおりです。
| 範囲 | 訪問先の大半がこうなら |
|---|---|
| 100m | 訪問先が近い間隔で並ぶ住宅地や商店街。ただし建物の中では押せないことがある |
| 200〜300m | 市街地の一般的な訪問。まずはここから始める |
| 500m | 工場・病院・団地・大きな商業施設など、敷地が広い訪問先。駐車場が建物から離れている場合 |
| 1km | 郊外の広い敷地。近くの別の訪問先でも押せることを承知のうえで使う |
おすすめは、初期値の300mで2週間ほど使い、「押せなかった」という声がどの訪問先で出たかを集めてから見直すことです。いきなり狭くするより、実際に困った場所を見てから決めるほうが、現場の納得も得やすくなります。
位置では見分けられない同じ建物の訪問先
オフィスビルや商業施設では、1つの建物に複数の訪問先が入っていることがあります。地図の上ではピンが重なり、押し分けにくくなります。また、位置で確かめられるのは「その建物の近くにいた」ことまでで、何階のどの会社を訪ねたかまでは分かりません。
この場合は、位置ではなく「選び方」と「名前の付け方」で区別します。
- 名前に階・部屋番号・テナント名を入れる:架空の例として「〇〇ビル 5F △△商事」「〇〇ビル 8F □□事務所」のように登録すると、一覧で見分けやすくなります
- ピンの位置を入口に合わせる:住所から立てたピンが建物の裏手にずれていたら、出入り口に動かしておくと、押せないことが減ります
- 一覧から選んでチェックインする:同じ場所に複数の訪問先があるときは、その場所の訪問先の一覧から、訪ねた先を選んでチェックインします
- 同じ会社の別部署は、担当者を分けて登録する:1つの会社で複数の部署の方に会う場合は、訪問先は1つにして、先方の担当者を複数登録しておくと履歴が分かれません
同じ建物での選び間違いは、二重訪問の原因にもなります。履歴の共有の仕方は「同じ顧客への二重訪問を防ぐには」で詳しく書いています。

位置情報を業務で使う前に決める3つのこと
営業担当の位置情報を業務で使うときは、「目的を先に伝える」「必要な範囲だけ集める」「勤務時間外の位置は集めない」の3つを決めてから始めます。
- 目的を先に伝える:位置情報は、誰の位置か分かる形で記録すれば個人情報です。個人情報保護法では、個人情報を取得したときは利用目的を本人に知らせるか公表することが求められています。何のために使うかを、始める前に本人へ伝えます
- 必要な範囲だけ集める:目的が訪問の確認なら、訪問先にいたかどうかが分かれば足ります。道順や休憩場所まで集めると、理由を説明しにくくなります
- 勤務時間外の位置は集めない:休日や勤務時間外の位置まで集めると、私生活に踏み込みます。チェックイン方式なら、押さない限り位置は訪問の記録になりません
就業規則にどう書くか、同意をどう取るかなど、個別の判断は、社会保険労務士などの専門家に確認してください。
監視にしない運用の決め方:何を見て、何を見ないかを先に伝える
仕組みが同じでも、伝え方しだいで「監視」にも「記録」にもなります。始める前に、次の5つを決めて、営業担当に伝えておきます。
- 目的:訪問先ごとの状況をそろえ、行き漏れと二重訪問を減らすため。「疑うため」ではないことを言葉にする
- 見るもの:どの訪問先に、いつ、誰がチェックインしたか。添えられたメモと写真
- 見ないもの:移動の道順、訪問と訪問の間の居場所、休憩の場所。そもそも記録しないことも伝える
- 使い方:会議で何を見るか(例:30日以上訪問していない先の確認)。評価にどう使うか、使わないか。再訪の間隔の決め方は「営業の売上を上げる方法|訪問件数より「再訪の間隔」を見直す」で書いています
- 押せなかったときの決まり:電池切れ・位置のずれ・押し忘れのときは、メモに理由を一言残す。それで責めない。メモはチェックインとは別の記録として残るので、管理者には「押して残った訪問」と「メモで理由を書いた訪問」が区別して見えます
特に5は大切です。記録が欠けたときの扱いが決まっていないと、営業担当は「押せなかったらどうなるのか」と不安になり、仕組みそのものを嫌がるようになります。
訪問先ごとの記録が残るようになると、帰社後に日報へ書き写す作業も見直せます。日報の転記をやめる手順は「営業日報をやめたら何が起きる?チェックインで置き換える方法」にまとめています。
PinStockでできること・できないこと
できること
- 訪問先を地図にピンで登録し、訪問先の近くでだけ押せるチェックインで、訪問の記録を残す
- チェックインは最初から使える。範囲は100m・200m・300m・500m・1kmから管理者が会社で1つ選ぶ(初期値300m)
- 訪問の記録として位置を確かめるのは、チェックインを押したときだけ(移動中の位置を記録し続けることはない。現在地の表示やピンの追加でも位置は使う)
- チェックインと一緒に写真とメモを残し、訪問履歴として訪問先ごとにためる
- 同じ場所にある複数の訪問先を一覧で表示し、選んでチェックインする
- ピンの位置を調整する。先方の担当者を複数登録する
- 顧客リストを最終訪問日の古い順・新しい順で並べ替え、「30日以上」「未訪問のみ」などで絞り込む
- メモをチームで共有するか、自分だけにするかを切り替える
できないこと
- 移動の軌跡を残すこと、営業担当の位置を常に見ること
- 滞在時間の記録(チェックアウトの仕組みはない)、誰に会ったか・何を話したかの自動の記録
- 押し忘れた訪問を、あとから位置で裏付けること
- スマホの位置そのものを偽る操作までは、防げるとは限らない(常時のGPS追跡も同じ)
料金は月額15,000円(税抜・5アカウント込み)で、6人目から1人800円(税抜)です。初期費用は0円。14日間の無料期間があります(カード登録が必要・無料期間中は請求されません)。
まずは訪問先の多いエリアを1つ選び、範囲300mで2週間試してみてください。「押せなかった場所」と「現場の声」を見てから範囲と運用を決めると、現場の納得を得やすくなります。14日間無料で試す
次に読む:
よくある質問
チェックインを使えば、訪問していないのに訪問したことにするのを防げますか?
訪問先の近くでないと押せないため、離れた場所から記録を残すことは難しくなります。ただし、どれだけ滞在したか、誰に会ったか、何を話したかまでは示せません。スマホの位置を偽る操作まで防げるとは限らないため、記録だけで判断せず、メモや日々の会話と合わせて確かめてください。
常時のGPS追跡とチェックインは、何が違いますか?
常時のGPS追跡は、移動中も含めて位置を記録し続ける方法です。チェックインは、訪問先に着いたときに担当者が1回押し、その時だけ訪問先の近くにいるかを確かめて記録する方法です。PinStockは後者で、移動の軌跡を残す仕組みはありません。現在地の表示やピンの追加など、ほかの操作でも位置は使います。
建物の中などで位置がずれて、チェックインできないときはどうしますか?
建物の入口や外に出て押す、ピンの位置を入口に合わせる、の順で見直します。それでも押せない場所が多いときだけ範囲を一段広げます。範囲は会社全体の設定なので、近くの別の訪問先でも押せるようになる点に注意してください。押せなかったときはメモに理由を残す、と先に決めておくと、記録が欠けても説明がつきます。